The Twilight Sad "Fourteen Autumns & Fifteen Winters"「その夏、家では、顔を見せない子どもだったんだ。」

しばらくレビューから遠ざかっていたが、時間に余裕があるのでぼちぼち更新していこうかと思う。

FOURTEEN AUTUMNS AND FIFTEEN WINTERS (IMPORT)

FOURTEEN AUTUMNS AND FIFTEEN WINTERS (IMPORT)

The Twilight Sad。どんなバンドかはよく知らない。
ほう、グラスゴー
ほう、轟音ギター。
ほう、モグワイじゃねえか。
というふれこみだったのだが、聴いてみて意外とメロっぽくてびっくりした。確かに轟音系のギターの音がするけど、歌もしっかり歌っている。こういうバンドって、轟音にまぎれて歌っぽいものが聞こえてくるというのが多いけれど、そうでもない。だから、とてもエモっぽく聞こえる。いや、歌詞は何を言ってるのかわからんけど。英語の発音がまるで聞きとれないからね、僕は。

じゃあなんで取り上げたのかと言うと、久しぶりにジャケ買いをしてしまったからだ。まさか、DL時代にもなって、ジャケ買いをするとは思わなかった。



「ねえ、ママ。」
「うるさいわね。静かにしてよ。」
「ねえ、ママってば。」
「・・・。」
「マーマー。」
「いいかげんいしなさい。ママは疲れてるのよ。今日もあんたのために、仕事も放り出して帰ってこなくちゃいけなかったんだから。いつもいつもこんなことばかりして。いったいどれだけ人に迷惑をかければ気がすむの。もうママはうんざりよ。あんたの顔なんて見たくも無いわ!」

「そう言うと思ってたんだよ、ママ。」
息子は、悪びれもせず、マスクで包んだ顔をママに見せた。



このジャケットが意味するものは何か分からない。でも、このジャケットを作った人は、子どもが嫌いか、嫌いではないにしても、悪意を持って見つめている人に違いない。子どもだけが持ちうる、生々しい憎らしさ。知識も経験も無いが故の、まさに子どもだましの問題に対する対処の仕方。見事なまでに子どもが持つ本質を剥き出しにしているな、と思う。さらに裏を返せば、子どもは、そんなうすっぺらい紙切れ一枚のようなものでしか自分を守ることができない、ということでもある。

作者の意図はどっちだろうね。#2 That Summer, At Home I Had Become The Invisible Boyというタイトルからして、後者のような気もするし、でも、歌詞を見てみないとわからないなあ。