Klaxons"Myths Of The Near Future"「もうひとつの神話」

Myths of the Near Future

Myths of the Near Future

イギリスのロックシーンは昨年に引き続き盛り上がりまくっているらしい。リバティーンズフランツ・フェルディナンド、んで、昨年のアークティック・モンキーズでバンドブームも打ち止めかと思いきや、ところがどっこいまだまだ熱は冷めやらぬ様子。完全にロック復権といった感じ。

その一方で、ひっそりと盛り上がっていたのが「ニューレイブ」と言われるムーブメント。メディア先行の印象は強いものの、今年に入って猛烈な盛り上がりを見せている模様。その筆頭とも言えるこいつらクラクソンズのデビューアルバムがこれ。バンドサウンドでクラブミュージックというスタイルは、目からウロコというほどのものでもないが、彼らが面白いのは、その強烈な実験精神だろう。彼らの言動から、過去の音楽ライブラリから選りすぐって切り張りしまくっている様子が伺えるのだが、この辺りが極めて21世紀的なアティチュードだなあと思うのだけれどどうだろう。何となくWeb2.0的。

さて、感想。すごくいい。話題先行だっただけに、あまり期待をしていなかったのだけれど、肩透かしを食らった感じ。#7"Gravity's Rainbow"なんか、イントロのギター〜キーボード〜サビと申し分無いくらいの完成度。実に愉快なアルバムに仕上がっている。しかし、こういった音は最初は耳あたりはいいのだけれど、長く聴くとどうしても飽きがきてしまうんだよなあ。

同じ時期に「!!!」の"Myth Takes"*1がリリースされたのだけれど、奇しくもどちらもタイトルが"Myths"(神話)で始まっている。!!!の方は、まさに伝説とも言えるマスターピースを作り上げたのだけれど、こちらはまだ二〜三歩足らずといったところか。しかし、その実験的な野心と、アナーキーな感性はけっこう好きですよ。ファンクを下敷きにした!!!と、クラブ・ミュージックを下敷きにしたクラクソンズ。ダンスミュージックは最強のレベルミュージックだというけれど、この方程式はやっぱり間違ってはいないような気がした。