水島新司「ドカベンスーパースターズ編(15)」

飯島を主役にすえた阪神戦の展開はそこそこ熱のこもった内容になったように思う。しかし、飯島の快投の理由が病床の奥さんが力を貸していたからというのはいかがなものかと。義経に「武蔵坊級のオーラ」と言わしめといてこれかい・・・。

とは言うものの、本塁でのクロスプレーのシーンなど、やっぱり御大はうまいなあと思う。視点が完全にグラウンド内にあるんだもの。この辺りの技術は本当にすごいなと思うんですけどね。

御大は下柳が本当に好きなんだなあと思う。そして、下柳のことをあからさまに過大評価している。以前は、下柳に150kmの剛速球を投げさせたこともあった。この巻では、心意気で完投という現実のシモさんではではありえないシチュエーションを演出する。なぜなら御大はこの巻の頭で、投手の分業について言及し、そうではない時代の「タフガイ」の代表として、シモさんを挙げているからだ。確かに昔のシモさんは鉄人だった。でも今は、中6日で5回までのローテーションピッチャーですよ。展開によっちゃ100球そこそこで降板しちゃうんですよ。

しかしねえ。走者が盗塁したため、悪球打ちの岩鬼にウエストボールを投げてしまうシモさん。こんな使い古されたネタをシモさんにやらせる御大。本当に愛していらっしゃるのでしょうか。