『I Should Coco』/Supergrass

I Should Coco

I Should Coco

オルタナティブ・ブリット・ポップ」

 1995年のイギリスにおいて発売された彼らのデビューアルバム。この年には、oasis「Morning Glory?」、Radiohead「the bends」、BlurGreat Escape」、The Chemical Brothers「Exit Planet Dust」・・・。はい、イギリスではブリットポップ全盛期です。ちなみに日本では、ハイスタの「Growing Up」や、イースタン・ユースの「口笛、夜更けに響く」が発売されております。メロコア(死語)夜明け前といった感じですね。

この年僕は15歳。あどけない中学3年生は、ミスター・チルドレンに夢中でしたから、ブリットポップという単語すら知らない有様。ここから洋楽人生の原点でもあるRadioheadに出会うまであと2〜3年。当然彼らのことはリアルタイムでは知らない。

では、いつ出会ったかというと、それは
今年。

ほんとに今更。もちろん名前くらいは知ってましたが、しばらく「アンチ・ブリットポップ」症候群を患っていたものですから、全く聴く気になれなかったんですね。しかし、今年の(独り)UKロック・ムーブメントの波に乗り、TSUTAYA様から借りてきたこのアルバム。結論から申し上げると、本当に良かった。

同世代にオアシスがいなければ、ブラーがいなければ、レディオヘッドがいなければ、彼らは絶対にナンバー1になれるだけの力はあったはず。巨大すぎる才能に埋れてしまった才能(決して売れなかったわけではないんだけど)。逆に、ブリットポップの流れが無ければ、彼らは世に出ることも無かったかもしれないわけで。しかし、10年の時を越えて聴いてみると、そういった環境や、情勢といった余計なものを排除した、純粋な音楽としてのみ聴くことができる。3ピースから繰り出されるグッドメロディ。疾走感あふれる彼らの演奏は、キンクスフーを95年風に解釈したものとして捉えることもできるだろうけど、いわゆるパンクからの影響も感じられる。それって今風に言うと、ポップ・パンクのスタンスよな。そして彼らには、ブリットポップ勢に共通して感じられる「おっさんくささ」が全く感じられないのが素晴らしい。

彼らは今も現役で活動している(1月のBRITISH ANTHEMSでも来日してましたねえ)。ムーブメントに飲まれながらも、地道な活動を続けている彼ら。本当は、彼らは「ブリットポップ」とひとくくりにされるバンドでは無かったのだろう。だからあえて「もう一つの」という枕詞を添えて。かれらは、「オルタナティブ・ブリット・ポップ」と呼ぶにふさわしいバンドのように思うのだ。

【お気に入りトラック】
#1〜#3 #6〜#8
#4 「Caught By The Fuzz」は超名曲。

【評価】
☆☆☆☆☆(家宝にします)


蛇足ではあるが、Arctic Monkeysのファーストアルバムは、oasisの「Definitely Maybe」になるのか、それともSupergrassのこのアルバムとなるのか。

【関連】
BRITISH ANTHEMS