水島新司「ドカベンスーパースターズ編(14)」

1試合の描写が比較的濃密で、久しぶりに水島マンガの醍醐味を味わえたように思う。プロ野球編以降がなぜつまらないかというと、現実のシーズンのスピードにあわせて物語が進むため、どうしても試合の描写が大味になってしまうからだ。同じプロ野球を描くなら、ゲームではなく人物に焦点をあわせた野球狂の詩や、初期のあぶさんのような一話完結型の手法の方が優れているように思う。1ファンとして、そういった文脈の中で生きるドカベンたちを見てみたい。今の手法で描かれるドカベンたちは、人間ではなく野球のお化けだ。

さて、この巻に登場する御大の定理をチェックしてみよう。

  • 日本記録達成は山田から
  • 外野手はフェンスよりも高く飛べる
  • 小兵選手がホームラン
  • 山田は打たなくてもやっぱりすごい


そして終盤では交流戦における阪神戦に突入。トラキチの飯島が先発という土井垣のいきあたりばったりの戦法もひどいが、それよりも赤星の顔がひどすぎる。でも金本の死球の避け方はすごいデジャブ感。たまにこういうことがあるからやめられんのだなあ。