あふりらんぽ「人類はアフリカ大陸で誕生したというのは本当なんだろうなあ」

あふりらんぽの「バカが来た!」レコ発ツアー”
十三ファンダンゴ

改めて感じさせられたのは、その奔放さ。枠にはまらないスタイル、というと陳腐な響きを伴うが、そもそも枠など最初からないと言い切ったほうが彼女達の本質を突いているように思う。

彼女達の演奏はステージだけではない。登場の時は、客席の真ん中のテーブルの上で歌う。楽器は使わない。ステージに上がっても、途中で降りてくる。しまいにはアフリカのピグミーに作ってもらった太鼓とギターを持ち出して、客席の真ん中で車座になって歌う。踊る。後方のカウンター席によじ登って歌う。飛ぶ。ひょっとしたらステージで歌っている時間よりも長く、アドリブと掛け合いで観衆も巻き込んでのパフォーマンスは、実にエキサイティングでスリリングだ。MCもあるようでない。観客に話しかけだしたと思ったら、すぐさまそれが歌になる。ステージ上にあるなめこ汁の歌*1。客の名前まで歌にする。

枠が無いのだ、本当に。客層は老若男女問わず様々だった。本当に意外なくらいおっさんとおばさんがいた*2。こんな関西のアンダーグラウンドシーンの1バンドなのに、外国人がたくさんいた*3。爆音とノイズでかき鳴らされたフレーズの上には、信じられないほどポップなメロディがのっかってくる。フィードバック・ノイズにのせて、スピード歌いだした時はマジで腰が抜けそうになりました。

ポスト・コアとか、ポスト〜という文脈で語られがちなこの手の音楽なのだけれど、彼女達の音楽は極めてプリミティブなものだ。でっかい声出して、気持ちいい音出して、めいっぱい体を動かすことが楽しくて楽しくて仕方が無いので音楽やってんだろうなあ。音楽の起源はどこにあるのか知らないけれども、彼女達が立っているのはまさにそこなのだ。その証拠に、あれだけ雑多な世代と人種の交じり合った空間で、全員がおんなじ顔して笑ってたもんなあ。僕もきっと、そうだっただろうなあ。実に楽しかった。

*1:彼女ら曰く、その日のテレビでデーモン閣下がステージ上でなめこ汁を飲むとのどにいいと言っていたらしい。

*2:関係者なのかもしれないけど。

*3:外国人はでかい。身長180cmの僕でも前が全然見えなかった。