In the バッティングセンター 34

In the バッティングセンター 33 - 新・灰日記

  • 本日のバッティング
    • 120km(マスコット使用)3セット
    • 120km 4セット

計 160スイング

マスコットバットが折れた。10年前から使い続けてきた愛用のバットだ。折れたバットにガムテープをぐるぐる巻きにしていたものなので、いつかこの日が来るというのはわかっていた。けれども、長年愛用したものが壊れるのは、やはり悲しい。高校時代は毎晩家の前で振り続けた。浪人中は、気晴らしによく振った。大学時代は、ほとんど触らなかった。そして、社会に出て、結婚してから、もう一度振りはじめた。もうすぐそれが、一年になる。

このバットを振るときはいつも、くやしい気持ちの時だった。試合でふがいない結果を残した時。試験でよい結果が出なかったとき。何もかもがいやになってむしゃくしゃしていた時。今もそうだ。いつまでたってもうまくならない野球。いくつになっても失敗したらくやしい。失敗したくないからバットを振る。10年前と、あまり変わらない。

結局僕は、どれだけ振っても下手くそのままだった。そして、苦しみを共にしてきたバットは、僕がうまくなることを見ることは無く、折れてしまった。もう、ガムテープを巻いても元には戻るまい。今彼は、何を考えているのだろう。もうこんな下手くそに振られることはないと安心しているのだろうか。もっと良い持ち主に巡り合っていればと後悔しているのだろうか。申し訳なさと、情けなさがこみ上げてくれる。それでも僕は、伝えよう。
「お世話になりました。ありがとうございました。」

いつか、仕事の帰りに、新しいバットを買いに行こう。2代目には、もう少しいい思いをさせてやりたいなあ。